世代間連鎖

2004年2月28日
父が次女をかわいがり、母が長男をかわいがり、
残された中間子の長女は、
行き場が無かった

高校進学の時になって、
長女は行きたくも無い、名前も知らない、
遠く離れた定時制の高校へ勝手に入学を決められてしまった

実家へ帰りたくても帰るお金が無い
働きながらギリギリの生活を送る
仕送りなんて殆ど無い

遠く離れた故郷を思いながら、
本当に欲しかった両親の愛情を夢に見ながら、
懸命に生きていた

成人して数年たって、
妹である次女が立派な着物を成人式に買ってもらったと聞いた

悲しくて仕方なかった
自分には、勿論そんなものは無かった
一人立ちするには早すぎる年齢から殆ど何も与えられていない



時が経ち、結婚して二人の子供を得た
長男は勉強は出来ないが真面目
次男が居たが生まれて暫くして亡くなった
その後長女を産んだ
長女は扱いにくかった

家はとても貧乏で、共働きにも関わらず普通の家に普通にあるものが無かった
古くて何年も買い換えられない物ばかりだった

扱いにくい長女には本当に手を焼いた
お金がないのにお金を欲しがる
我儘でどうしようもない すぐ癇癪を起こし、当り散らす

小さい頃には折檻を沢山した
それが黙らせるのに一番簡単な手だと思っていたからなのか、
自分が親からされたことが世代間連鎖となって表れたのか、

それはわからない


だが長女はいまだにしつこくそのことを言ってくる

長女の言い分はこうだ
「私も兄に与えられるのと同じ愛情が欲しかった」
「気を引くために勉強を一生懸命頑張ったけど、いくらも褒めてはもらえなかった」
「何か失敗するといつまでも嫌味を言われた、それがずっと苦しかった」
「小さい頃の母親の暴力が、怖くて仕方なかった」
「兄と同じように扱われないのが寂しくて仕方なかった」

長女は国立の大学に落ち、お金のかかる私立へ行った
それまで貯めたお金を殆ど学費や仕送りに注ぎ込んだ

苦労して育てたのに、思うようには行かないものだ



でも、長女は今頃やっと感謝し始めたって。

小さい頃の経験が、彼女の夢に繋がっている。
子供に愛情を与えることがどれだけ大切か、
一言、大丈夫、と言ってくれる人が傍に居ることがどんなに心強いかが分かる

貧乏で劣等感の塊だったが、
今は同じ環境の子供の心の葛藤が分かる

だから誰かの力になれるんじゃないかと思っている


夢を叶えて、一言、心からごめんねと言えるようになりたいと思っている

唯一つ、不安なことは、自分に子供が出来たとき、
同じ事を繰り返してしまわないかという事

それを補うパートナーが、現れてくれればいいのにね




何が起こっても、無駄なことなんて一つもない
これから先も多分そうだ

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索